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五箇山・白川郷合掌造り、飛騨高山、そして高岡市へ

高岡山・瑞龍寺

 飛騨高山の市街地から車で高岡市に向かう。高岡市は富山県の北西部に位置し、人工は富山市に次いで、富山県で第2位。高岡市へ赴くのは今回が初めて。アルミサッシの生産量日本一である。
高岡市には、今回の目的地、国宝の寺「高岡山 瑞龍寺(ずいりゅうじ)」がある。近代禅宗様式建築の傑作。富山県唯一の国宝だ。

<高岡山 瑞龍寺の沿革>  高岡山 瑞龍寺のパンフレットより
曹洞宗高岡山瑞龍寺は、加賀二代藩主前田利長公の菩提をとむらうため三代藩主利常公によって建立された寺である。
 利長公は高岡に築城し、この地で亡くなった。加賀百万石を譲られた義弟利常は、深くその恩を感じ、時の名匠山上善右衛門嘉広をして七堂伽藍を完備し、広山恕陽禅師をもって開山とされた。
 造営は正保年間から、利長公の五十回忌の寛文三年(1663)までの約二十年の歳月を要した。当時、寺域は3万6千坪、周囲に壕をめぐらし、まさに城郭の姿を想わせるものがあった。
 平成9年12月3日、山門、仏殿、法堂が国宝に指定された。また、総門、禅堂、大庫裏、回廊、大茶道が国の重要文化財に指定されており、江戸初期の禅宗寺院建築として高く評価されている。


左画像 「八丁道(はっちょうみち)」

高岡山瑞龍寺と前田利長墓所を東西に結んでいる参道。長さ約八丁(870m)。松並木と石畳そして石燈籠が続く。
当時の面影はない。とてもきれいに整備され、気持ちの良い参道だ。
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加賀藩2代目藩主 前田利長の銅像
高岡の開祖。
高岡市のマスコットキャラクター
利長くんが瑞龍寺に来ていた。

 回廊と建造物が美しい対(つい)を成し、厳粛で、威風堂々とした姿をみせる。建築物等の構成は、ほぼ左右対照をなしている。また総門、山門を通した眺め、門自体と奥行きを伴った遠くの建造物、その双方が重なり合って目に入る眺めは、洗練され、絵画的に迫ってくる。人の潜在的に持つ審美眼を計算し、建築に巧みに取り入れたのだろう。
 まず最初の総門を通り抜けると、そこは木々が1本もな広い空間で、下にはすべて玉砂利が敷き詰められている。正面には山門(国宝)の2重の屋根と左右対称の回廊が見られる。山門を近くから見上げると、迫力ある重量感をして、私たちに覆い被さってくるようだ。この山門からまた正面を見ると、こんどは正面に仏殿(国宝)が鎮座している。回廊に囲まれた中は、いちめん芝になっていて、落ち着いた建造物の色合いとのコントラストが目にまぶしい。

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総門(重要文化財)
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山門(国宝)
この画像は、高岡市商業観光課より
お借りした画像です。
山門
正面から見て右手。
山門
正面から見て左手。
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山門
この画像は、高岡市商業観光課より
お借りした画像です。
金剛力士像
金剛力士像 拡大
山門より仏殿を見る。

 山門をくぐって、右に折れ、回廊に入る。回廊は周囲300mに及ぶ。ここまで回廊が柱と障子、そして白壁が織りなす規則正しい様子は、敬虔な空気をもたらし、またとてもすがすがしい。正面から見て右側の回廊には「大庫裏(重要文化財)」がある。ここは台所と寺務運営を行う、いわば事務所のようなものがある。

 この寺の回廊だが、僧侶の方が面白いことを教えてくれた。それは回廊の左右の※1長押(なげし)の取り付けられている高さが違うことだ。中心に向いた側の長押は高く、それとは逆の外側の長押は低くなっている。中心に向いた側の※2鴨居(かもい)がつく長押が高くなっているのは、ここを通る僧侶が、仏殿や法堂が見えるよう、障子の上辺を高く設定するためだ。外側も高くすると、白壁と長押の位置が変わり、美的バランスを崩してしまうようだ。建築に大変細かい配慮がなされている。

※1長押:柱と柱の間をつなぐ横材。
※2鴨居:障子やふすまなどをはめる部分の上部に渡した溝のある横木。

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大庫裏(重要文化財)
調理配膳、寺務運営を行う。
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回廊(重要文化財) 延べ300mにおよぶ。
右と左の長押の高さに注目。
位置が違う。
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回廊より仏堂を観る。
大庫裏の正反対にある禅堂(重要文化財)。
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大庫裏。左手には畳敷きの
大広間(寺務を司る)がある。
大庫裏のかまど。
棒状のものが建てかかっている。→ 僧侶の方が一瞬で
ハシゴにした。

 大庫裏から一度、回廊に囲まれ芝生が敷き詰められた中へ出て、「仏殿(国宝)」へ向かった。
名匠による総欅造り。屋根は鉛板の貴重な建築。釈迦・文殊・普賢の三尊がまつられている。屋根裏の天井に向かっての木組みは(木組みを何と呼ぶのか?)大変興味深い。木の質感、その構造が、なにか霊妙な世界を作り出している。この寺の全体的な配置は※3伽藍構成となっている。

※3伽藍構成(パンフレットより):伽藍は、鎌倉時代広く我国にもたらされた中国の寺院建築を模して建立されたもので、総門・山門・仏殿・法堂を一直線の配列し、左右に禅堂と大庫裏を置き、加えて四周を回廊で結ぶなど、厳粛且つ整然たる伽藍構成である。

仏殿の真後ろに法堂(はっとう)がある。
法堂(国宝)の中央奥には、二代藩主前田利長の御位牌が安置されている。総桧造りで、境内最大の建物。ここで手を合わせ、それを終えると反対側の回廊を歩いていく。

この寺を眺めていて、ひとつ疑問が生まれた。
仏殿の後ろ側には出入り口は一切ない。そしてこの仏殿は後ろにある法堂の正面を完全に隠してしまっている。法堂を隠して、また法堂への入り口がないことが、とても不思議なことに思えた。法堂(はっとう)は前田利長の御位牌も安置され、最も大きく、本堂ではないのか?(ここで私は本堂という言葉の意味を、中心をなす最重要建造物と捉えている)そこで調べてみると、「仏殿は本尊を安置し、寺院の中心となる。法堂は、仏殿の次に大事な建物ということだ。」つまり仏殿が私の思っている本堂なのだ。一番奥に鎮座し、最も大きい建物ゆえ、法堂を初めから本堂と決めつけていた。

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仏殿(国宝)
この画像は、高岡市商業観光課より
お借りした画像です。
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仏殿
屋根は鉛板で葺かれている。
これは全国的にみて極めて珍しい。
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仏殿 右手奥は法堂。
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仏殿。
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仏殿内部。
釈迦、文殊、普賢の三尊をまつる。
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仏殿内部。
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法堂(国宝)正面。
法堂
法堂内部。6室よりなる。 拡大
法堂内部。
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法堂。
法堂
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法堂の天井。
狩野安信の四季の百花草が描かれている。

反対側の回廊を山門出口へと進んでいく途中、大庫裏と対象をなす建築物に、禅堂(重要文化財)がある。座禅だけでなく、食事、睡眠もとれる、生活する部屋でもあった。
かって、曹洞宗の大本山、総持寺で1日修行をしたことを思い出した。もちろん座禅もした。
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禅堂(重要文化財)

高岡市には、日本三大物のひとつ大佛寺の高岡大仏がある。他の二つはご存じ、奈良の大仏、鎌倉の大仏だ。高岡の大仏はご存じない方も多いと思う。私も知らなかった。大仏は車窓からのみの見学となった
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高岡大仏


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