ちょっとおかしい ちょっと悲しいお話

弊社の委員のT、M。そのお父さんのお話。

お父さんは鳥取県に住んでいる。
たまたま葬式が九州であった。お父さんを含め3人兄弟は、九州に車で行き、無事葬式を終え高速で帰路に向かった。兄弟の一人は後部座席で、ちょっと酒を飲み過ぎたのか気持ちよさそうに寝入っている。車は途中休憩で、あるサービスエリアに止まった。二人は、酔って寝入っている一人を確かめ、彼を残しトイレに向かった。そして用を終えるや、すぐさま車に乗り込み帰りを急いだ。二人は、運転席と助手席で、だれもが交わす世間話に夢中になりながら、単調な車の少ない高速道路を走っていった。
もちろん事件がおきていることは、知る由もなかった。一人を除いて。

そうなのだ。一人の酔っぱらいは、車にいなかったのだ。

一人の酔っぱらいは、二人がトイレに立った跡、起きだし後を追いかけ、用を足して戻ってくると車がないのに気づいたのだ。酔ってはいるが、ことの重大さに気づくにはそうは時間を要さなかった。自分が一人無人島に取り残されていること悟った。彼はあわてた。ろれつの回らない口調でサービスエリアから親戚中に電話をしまくった。こういうとき酔っぱらいは悲しい。聞いている側に、緊迫感がなくなるのだ。きっと自業自得と親戚のものに言われただろう。

ここでこの事件の解決をさらに長引かせた別の要因がある。それはT、Mのお父さんが携帯電話を持ってはいるも、それに疎かったことだ。(前回もこのお父さんの話を書いた。携帯電話のメールを息子に出すのに下書きをしたというお話)携帯が鳴っているのを無視し続け、なんと携帯のSOSに気づいたのが、
次で寄ったサービスエリア。  ・・・それはなんと1時間半後だった。

その後T、Mの携帯に酔っぱらいの娘より次の様な怒りのメールが送られてきた。そして今も携帯にはそれが残っている。
「大のおとなが3人して なんだ!!!」

酔っぱらいと電子機器に弱い二人の悲しいお話だった。

                              文 父親似のT、M