株式会社 大一アルミニウム製作所

葛飾ブランド 葛飾町工場物語 第4回(平成22年)より抜粋
発行:葛飾区/東京商工会議所 葛飾支部
 弊社で展示しているアルミのお弁当箱を製作しているのは東京都葛飾区にある「大一アルミニウム製作所」さんです。今回、ある見本市で「葛飾町工場物語」という立派な冊子を頂きました。その中で、「大一アルミニウム製作所」が、下町の優れた町工場としてたくさんのページを割いて紹介されていました。ここでその一部を紹介させて頂きます。

創業当時からの大ロングラン製品、ホシマル印の弁当箱

 現在、世間はちょっとした「お弁当ブーム」だといわれている。OLでけではなく男性も自家製のお弁当を食べるのが目立っている。こうしたブームとはあまり関わりなく昭和27年の創業時から現在までずっとアルミ製弁当箱を作り続けてきたのが(株)大一アルミニウム製作所である。・・・・・・
 ホシマル印の弁当箱は、平成21年に公開された映画『のんちゃんのり弁』(主演・小西真奈美)で使用されマスコミ等で話題を呼んだ。映画の中で小西真奈美の娘役である幼稚園児が使っている弁当箱は小判型の小振りなもので、昔ながらのシンプルで美しい形状とアルマイト独特の艶消しの肌合いが魅力的である。「実際、いくつもの幼稚園では弁当箱はできるだけアルミ製のシンプルなものにするようにと推奨しているそうです。こうした幼稚園には弁当を暖める装置(暖飯器)があり、その熱源の影響でプラスチック製では変形しやすいということがその理由のひとつ。また、幼児は使い方が荒っぽいためちょっと複雑な作りのものだとすぐに壊れてしまうことが多いからだそうです」・・・・・・・・


アルミの深絞り加工の難しさ、国内同業者も今やわずかに

 アルミのプレス加工、特に深絞り(弁当箱やコップなど高さの必要な形状を成形すること)は具体的にどの点が難しいのだろうか?・・・・・・「鉄などと比較し、アルミは素材がデリケートなので取扱には繊細さが要求されます。アルミを深絞りする際、プレスすると同時に『逃がし』(プレス加工にかかる圧力を分散させること)を行わなければならないのですが、この『逃がし』の調整がうまくいかないと均一に絞れず、材料が切れたりします。現在市場に出回っているプレス機には、力はあるけれどストロークの浅い、この『逃がし』には不向きなものが多いのです」。さらに、「材料のアルミ板はメーカー特性が生じてしまうことがしばしばあります。JIS規格等で規定された同じ成分・硬度の材料であっても、材料メーカーごとに微妙に絞り具合の差が生じたりします。これを考慮したうえで、均一な厚みで仕上がりの美しいものに絞れるかを工夫するのが職人の腕です。具体的にはプレス機の設定や金型の調整などです」という。・・・・・・「プレス加工の現場だけを見ると、機械がプレスしているので職人は金型や材料をセットするだけだと勘違いされやすいのですが、良い製品を作るためにはやはり技術の蓄積が必要なのです」。・・・・・・・・・・


日本人ならではの丁寧なものづくり

 同社では、今やアルミニウムだけではなく、ステンレス、鉄、真鍮などさまざまな素材を使用しているが、近年アルミ以外の製品を中心に生産設備やコスト面を考慮の上、海外の工場への製造委託が増えている。ただし、最終仕上げおよび検査は葛飾の本社工場で行う。「お客様の品質に対する要求が高くなればなるほど、弊社の役割も大きくなると考えています。金属製品についてまわるバリ(切断面にできる鋭角で小さなギザ状突起)の除去や細かいキズ発見などは、日本人の繊細にものを扱うという特性がなせる業です。お客様目線で作業にあたるからこそ品質の安定が約束されるわけです」・・・・・・
「日本の消費者はおそらく世界で一番シビアだと思う。こうした細かな要望に応えてきた日本製品には海外製品とは異なるこだわりと安心が感じられる。メイド・イン・ジャパンが海外でも立派なホールマーク(品質証明)として通用している理由はそこにある」と強く主張する。・・・・・・・・・・・・・・・ 



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