ガスコンロで焼けるパン焼器にみる南部鉄器の力

 4mmの肉厚鉄器の蓄熱性(熱をしっかりため込む)は、素材の芯までじっくり火を通すいわば「柔らかい熱」です。料理を美味しくする特筆すべき特長であると思います。
 右のパン焼器の鍋をご覧ください。まずフタです。しっかりした肉厚のフタが、下から来る熱をしっかり受け止めてくれ
ます。そして柔らかい熱として全体に行き渡らせるのです。
またパン焼き器ではなく「鉄器の鍋」の場合は、フタの重さが圧力鍋のような役目も果たします。
特に鉄器のおいしくさせる蓄熱性は、厚みが重要であるため、ある面で重さからもきているのです。長所と短所は表裏の関係です。
 中央部の煙突のような筒をご覧下さい。これは火の通りにくい芯の部分にも熱を行き渡らせる工夫です。しかしこれも優れた蓄熱性があってのことで、他の材質では難しいでしょう。このページは、パン焼器のお話なのですが、似た例として、例えばマルチオーブン(ダッチオープン)もフタが厚く上にも炭が置けて、全体に均一に熱がいくように、なっているのです。そして火まわりのよい特性で、下からと上からの熱が全体にまわり、しっかりと蓄え、オーブンの役目を果たすのです。またフライパンは、上からの熱は、ありませんが、肉を入れた時、しっかりと熱を蓄えた鉄が、調理素材を入れた時の温度の下がりを少なくし、肉全体に熱を加えてくれるのです。しっかりとした蓄熱性は同じです。肉がおいしく調理できるわけです。なんといっても柔らかい火ですから。ともかくこのパン焼器は、肉厚の鉄の持つ特性と、熱をできるだけ行き渡らせようとする工夫で、ガスコンロでパンが焼けることが可能になった商品です。
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鉄は、大変長持ちする道具です。しかし使い方と、少しの手入れを怠れば、焼き付け加工を施しているとはいえ、錆びる心配がないわけでは、ありません。ですからちょっと気を使ってやってください。その代わり、おししい調理をお約束します。
そしてこれも表裏の関係ですが、ほうれん草に負けない、吸収のよい2価鉄を出してくれるのです。(ホーロではそれは、できません。)天然素材のもつ温かみと、素材と鉄肌のもつ安心感と一緒に。



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